ニュース一覧 > プレイベントサポートスタッフ事前研修[第1講座]を行いました
PARASOPHIAを共有
  • Facebookページへ
  • Twitterページへ
  • Google+ページへ
  • Instagramページへ

プレイベントサポートスタッフ事前研修[第1講座]を行いました

2014.01.15 水曜日 21:38

  • Google+
プレイベント[作品展示]ウィリアム・ケントリッジ《時間の抵抗》の現場で活躍するサポートスタッフを対象とした事前研修[第1講座]を、12月22日、12月23日に開催し、サポートスタッフはいずれかの日を選択して参加していただきました。研修の第1講座は「美術館を知る」というテーマのもと、1日目(22日)はPARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭2015のメイン会場となる京都市美術館で研修を行いました。はじめに本芸術祭アーティスティックディレクターの河本信治よりオリエンテーションとしてのレクチャーを実施。次に、本芸術祭プロフェッショナルアドバイザリーボードメンバーである杉浦幸子氏(武蔵野美術大学芸術文化学科准教授)による「アートの出会いを通した学びのサポート」と題したレクチャーのあと、サポートスタッフ内でのグループディスカッションを実施。午後からは本芸術祭のキュレーターの中谷至宏が美術館の歴史を紹介しながら、サポートスタッフとともに館内を巡るツアーを行いました。2日目(翌23日)は研修場所を京都国立近代美術館に移し、午前中に前日と同様のレクチャーを行った後、午後からは京都国立近代美術館研究員の牧口千夏氏にご案内いただき、バックヤードツアーに出発。普段見ることのできない美術館の裏側を知ることができ、大変有意義な研修となりました。


2日目(12月23日)の様子

サポートスタッフによる詳細レポート(1日目)は下記参照

※プレイベントサポートスタッフの募集は終了しました。

京都市美術館:www.city.kyoto.jp/bunshi/kmma
京都国立近代美術館:www.momak.go.jp




PARASOPHIAプレイベントサポートスタッフ事前研修(2013年12月22日)報告
ユン・ジヘ(プレイベントサポートスタッフ)


2014年2月のプレイベントに向けての第一回目のサポートスタッフ事前研修が、12月22日に京都市美術館で開かれました。サポートスタッフの内14人が参加したこの日の研修は、PARASOPHIAの目指すところ、サポートスタッフの役割、PARASOPHIAのメイン会場でもある京都市美術館という場所を理解する場になりました。サポートスタッフの一人として参加し理解した内容を皆さんに以下のようにお伝えしたいと思います。

I. オリエンテーション(10:00–10:30) 河本信治さん
最初のセッションは、PARASOPHIAのアーティスティックディレクターである河本信治さんによるオリエンテーションの時間でした。京都初の民間からの発想による国際現代芸術祭PARASOPHIAが目指す形は、町おこし的な大規模のイベントではありません。現代アートを通して、目に見えない知的プロセスを残すことにPARASOPHIAの目指すところがあります。作品の上に自分なりの意味内容を重ね、その作品と場所自体を豊かにすることで、観客とスタッフが共に成長していくのがこの知的プロセスと言えます。
     私たちがサポートスタッフとして活動するプレイベントとして展示される、ウィリアム・ケントリッジさんの《時間の抵抗》は一目で分かる作品ではありません。「時間」をめぐるいろんな文脈を含んでおり、観客にその話を投げかける作品です。「時間」について考え始める機会が作られ、この作品とケントリッジさんの話をどのように感じ取るか、またどこまでこの話を解明するかは観客の受け取り方次第です。これらの人をサポートするために私たちがいます。丸暗記したバックグラウンド情報を観客に与えることが私たちの仕事ではありません。観客の側で作品をめぐるさまざまな文脈と資料を紹介することで、観客が起こし始めた知的プロセスを活発化させることに私たちの根本的な役割があると思います。どのように役立たせるか、どのような文脈を紹介するのかは、これからサポートスタッフ各々が考えていくべき宿題となったと言えます。

II.レクチャー(10:30–11:30) 杉浦幸子さん
二番目のセッションは武蔵野美術大学の杉浦幸子先生によるレクチャーでした。この時間には、PARASOPHIAに観客が訪れたときに起こること、サポートスタッフの心構え及び実務的態度について学びました。 さまざまな動機をもった観客が会場を訪れ、作品に出会います。作品を見て、聴いて、感じて、想像します。そしてその場で受け取った刺激を発信していきます。これは人間において間断なく続く生涯学習のプロセスの一つの形です。この時観客が出会う「モノ」、「場所」、「人」すべてがこの学びを成す構成要素になるわけです。まず、PARASOPHIAで出会う「モノ」はどのようなモノでしょうか。それは絵画、彫刻、映像、インスタレーションなどといった作品以外にも会場の家具、ショップ、雰囲気など、観客のいろんな感覚に作用する経験全体です。そして、京都市美術館、元・立誠小学校、京都文化博物館などの隅々、京都の町中がこの経験の「場所」になります。学びの三番目の構成要素である「人」には我々サポートスタッフも含まれています。受付者、案内者、看視者、スタッフといったいろんな姿の私たちによって会場全体が与える印象が変わることもありえます。PARASOPHIAの普及のための多様なプログラムの中の一つであるサポートスタッフプログラムを担う私たちは、心を込めた観客へのおもてなしのみならず、PARASOPHIAの「モノ」と「場所」、「人」をつなぐという核心的活動を行うことになるのです。そして、その方法を考えるのは私たち自身です。

III. グループディスカッション(11:50–12:30)
次のセッションでは、参加者14人が3つのグループに分かれ、前の時間に学んだことについて思いついたことを皆と共有して、プレイベントのサポートスタッフとして活動するにあたって大切なことを発表する時間を持ちました。参加者全員それぞれの意見がありましたが、参加者の疑問は三つほどに要約できると思います。その内容は、どうしたら観客に「うまく」応えることができるのか、実務的なクレームの前でどのような行動をとるべきなのか、そして観客の鑑賞の自由を制限せずに会場環境を保つための柔軟な態度とはどういうものかということでした。しかし、「うまい」対応というのは何をもってそう判断できるのかという、サポートスタッフの根本的在り方をまず考えることが一番重要な課題として残されました。

IV. 美術館ツアー(13:30–15:00) 中谷至宏さん 最後のセッションはPARASOPHIAキュレーターの中谷至宏さんからの京都市美術館の歴史のレクチャーと美術館ツアーになりました。敷地の歴史は1895年の内国勧業博覧会まで遡り、1928年には前身である「大礼記念京都美術館」の建設が決定されました。コンテンポラリーアートを紹介することを目的として1933年に開館した美術館は、1952年以後は今の名称に変わり、今までの歴史を積み重ねています。
     第45回日展京都展が開かれている現在の館内外で、美術館へのアクセス、当美術館の陳列方法、会場スペースの活用、そして主な作品について学ぶ時間を持ちました。