2015.04.10 金曜日 17:00–18:30
アナ・トーフ《ファミリー・プロット》
- ギャラリートーク
[ギャラリートーク]アクセスプログラム[植物分類学]荻巣樹徳
荻巣樹徳
京都市美術館で展示中の「PARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭2015」出品作品、アナ・トーフ《ファミリー・プロット》(2009–10)のアクセスプログラムとして、ナチュラリストの荻巣樹徳氏をお招きし、植物分類学のテーマでギャラリートークを行います。
「…《Family Plot》[ファミリー・プロット]は、[アナ・トーフ]が選んださまざまな先人たちの歴史を50点の版画によって提示する。中心人物は現在も使われている植物の学名命名システムを確立したスウェーデンの自然学者カール・リンネ。植民地時代には、この命名法によって外国の植物はその発見者——たいていはヨーロッパ人であったが——にちなんで名づけられた。植物学名に魅力を感じたトーフは、その名前の由来となった大航海時代と帝国主義時代の25人の後援者たちの「世界」を探求し、単一の歴史観からは理解不能な軸に沿って発展する文化史を露わにする。鑑賞者は綿密に調査され、美しく配置された作品の前に立ち、世界史の暗部についてのきわめて個人的な見方を示す「世界の絵地図」を経験するのである」(全文)
荻巣樹徳(おぎす みきのり)
1951年愛知県生まれ。ナチュラリスト。少年時代から伝統園芸植物の栽培について多くの名人から薫陶を受ける。1972–75年、ベルギーのカラムタウト樹木園、オランダのポストコープ国立試験場、イギリスの王立キューガーデン、ウイズレイガーデンなどで学ぶ。1980年より、中国西南部を中心に、植物の調査をはじめ、1982–84年には外国人として初めて中国・四川大学に留学、名誉研究学者。ロンドン・リンネ学会フェロー。1995年、英国のヴィーチ賞、2004年、第38回吉川英治文化賞受賞。2008年時点で植物調査のための移動距離は30万kmを超え、その間に新種(50種以上)や伝説的植物を発見する一方で、日本の伝統園芸植物の生体保存に尽力し、今日に至る。2015年4月30日に産学社より発行予定の椿昇氏の新著『シェルターからコックピットへ 飛び立つスキマの設計学』に同氏との対談が収録されている。
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写真:野々下禄斗